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食品工場の衛生管理の基礎知識

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食品工場の衛生管理とは、食中毒や異物混入といった食品事故を未然に防ぎ、安全で高品質な食品を消費者に提供するために不可欠な取り組みです。原材料の受け入れから製造、出荷に至るまで、全ての工程において危害要因を分析し、管理することが求められます。これは、単に清潔に保つだけでなく、国際的な基準に沿った衛生管理計画の策定や従業員教育、記録・保管システムの確立など、多岐にわたる活動を含みます。

食品工場の衛生管理は、消費者の健康と安全を確保する上で非常に重要です。
適切な衛生管理を怠ると、食中毒菌やウイルス、異物が製品に混入し、消費者の健康被害を招くリスクが高まります。
不衛生な環境下で製造された食品は、食中毒や感染症の原因となる可能性があり、一度事故が発生すると、製品回収や損害賠償といった多大なコストが発生するだけでなく、企業の信頼性やブランドイメージが著しく低下するおそれがあります。

そのため、食品の安全性を確保し、消費者の信頼を得るためには、製造現場を清潔に保ち、従業員一人ひとりが衛生意識を高めることが不可欠です。
また、衛生管理を徹底することで、作業効率の向上や生産性の向上にも繋がり、従業員が安心して働ける職場環境が整備されます。

食品工場の衛生管理を効果的に実施するためには、明確な衛生管理計画に基づいた具体的な基準を設定し、それを遵守することが重要です。
衛生管理計画には、HACCPの考え方を取り入れることが義務付けられています。
さらに、5S活動や食品衛生7Sといった基本的な活動を継続的に実践することで、工場全体の衛生レベルを向上させることが可能となります。


HACCPの基礎

HACCP(HazardAnalysisCriticalControlPoint:危害要因分析重要管理点)は、食品の安全性を確保するための国際的な衛生管理手法です。
原材料の受入れから製造、出荷までの全工程において、食中毒菌汚染や異物混入などの危害要因を事前に分析し、それらを除去または低減するために特に重要な工程(重要管理点)を管理する仕組みです。
2021年6月からは、全ての食品等事業者に対してHACCPに沿った衛生管理が義務化されており、この手法を導入・運用することが求められています。

HACCPに沿った衛生管理を実践するためには、衛生管理計画の作成と、その計画に基づいた適切な管理、そしてその実施記録の保管が不可欠です。
HACCPに関連する資格として、HACCP管理者資格や食品衛生責任者などがあり、これらの資格取得は義務ではありませんが、衛生管理の知識を深め、高水準な食品工場の衛生管理体制を構築する上で役立ちます。

例えば、HACCPリーダー(食品安全管理技術者)は、HACCPシステムの構築や運営を担う人材に与えられる資格で、講習と試験に加え、一定期間の実務経験が必要です。

5S活動

5S活動とは、職場環境を改善し、業務効率化や安全性の確保を目指すための「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」という5つの活動の総称です。

「整理」は、必要なものと不要なものを区別し、不要なものを処分することです。
「整頓」は、必要なものを決められた場所に、決められた形で置くことで、探し物の時間を削減し、作業効率を向上させます。
「清掃」は、職場環境や使用する道具を清潔に保ち、汚れや異常を発見する機会を作ります。
「清潔」は、整理・整頓・清掃の3Sが維持され、清潔な状態が保たれていることを意味します。
最後の「しつけ」は、これら4つのSを継続的に実践し、習慣化させることです。

5S活動は、主に製造業の現場で業務の無駄を削減し、業務効率化と生産性の向上に繋がることから広く用いられています。
継続的な実践により、従業員の意識改革が促され、日常的に改善点を発見し、実行できる文化が醸成されることが期待されます。


食品衛生7S

食品衛生7Sは、5S活動に「洗浄」と「殺菌」の2つのSを加えた、食品工場に特化した衛生管理の基本概念です。
一般的な5Sが職場の視覚的な清潔さや生産効率の向上を目的とするのに対し、食品衛生7Sは食中毒菌などの微生物レベルでの清潔さを求め、安全な食品を提供することを目的としています。
7つの要素は以下の通りです。

まず「整理」では、不要なものを排除し、異物混入のリスクを低減します。
次に「整頓」では、必要なものを決められた場所に配置し、無駄をなくし作業しやすい環境を整えます。
「清掃」では、定期的な清掃で細菌やウイルスの繁殖を防ぎ、異物混入のリスクを抑えます。
「洗浄」は、水や洗剤を用いて設備や器具の汚れを徹底的に洗い流すことで、洗剤の使い分けや作業手順の明確化が求められます。
「殺菌」は、微生物の死滅・除去、または増殖抑制のために、場所や部位に適した方法で実施します。
「しつけ」は、整理・整頓・清掃・洗浄・殺菌が適切に行われているか管理し、作業手順を周知徹底することです。
最後に「清潔」は、上記の活動が継続的に行われ、工場全体が清潔な状態を維持できていることを指します。

これら7Sを徹底することで、食品工場の衛生状態が向上し、作業効率の改善、コスト削減、そして消費者からの信頼獲得に繋がります。

食品衛生における7S

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