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工場で有効な寒さ対策について詳しく解説!

工場で有効な寒さ対策について詳しく解説!

工場は一般的に空間が広く、出入り口も多いため外気の影響を受けやすく、従業員からは「作業中に足元から冷える」「暖房が効きにくい」といった声があがりやすい環境です。

こうした寒さが続くと、体調不良による欠勤の増加や作業効率の低下を招き、結果として製品の品質にも影響を及ぼす可能性があります。

そこで、この記事では、食品工場特有の環境を踏まえ、寒さの原因から、企業側と従業員側それぞれで実施できる有効な対策や動きやすさ・安全性・省エネを両立するための工夫を詳しくご紹介いたします。

工場、特に食品工場のような環境において寒さ対策が重要となるのは、主に「従業員の健康」「生産性」「企業の持続可能性」という三つの側面で悪影響が出るためです。

健康リスク

冬場の低温環境は、まず、従業員の健康にリスクをもたらします。

体が冷えることで、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなるほか、血流が悪化することによる冷え性や関節痛、さらには血圧上昇などの健康被害を引き起こす可能性があります。

特に、食品工場では手洗いなどで水に触れる機会も多いため、手足の冷えは深刻な問題になりがちです。

作業効率の低下

体温が低下すると、集中力や判断力が鈍り、作業のミスが増える恐れがあります。

また、手がかじかむことで、細かな作業や機械操作が困難になり、作業スピードが落ちてしまいます。

その結果、労働生産性が低下し、製造ライン全体の効率にも悪影響を及ぼします。

従業員の定着率の低下

作業環境の快適性は、従業員のモチベーションや企業への満足度に直結します。

極端な寒さが続く工場では、「働きにくい」「体調を崩しやすい」といった不満が募り、離職につながるリスクが増加します。

特に、若年層や非正規雇用の人材を確保したい企業にとって、労働環境の改善は重要な課題となります。

工場の寒さの原因には、外気温の低さそのものだけでなく、その工場の建て方や、どんな作業をしているかといった特有の事情も大きく関係しています。

外気温の影響

工場は資材や製品の搬入出のために、大きな出入口(搬入口)を持つことが多く、ここを開放するたびに冷たい外気が大量に流れ込み、工場内の温度を急激に下げてしまいます。

また、窓や壁、屋根の断熱性が低い場合も、外気温の影響を直接、受けやすくなります。

空調設備の整備

広い空間を持つ工場では、家庭用のような一般的なエアコンでは暖気が全体に行き渡りにくく、暖房効率が悪くなりがちです。

そのため、暖房をつけているにもかかわらず、従業員の足元などで局所的に寒さが残るという現象が発生します。

空間の広さ

天井が高く、空間が広い工場や倉庫では、暖められた空気(暖気)は軽いため上部へ逃げてしまい、作業者がいる床付近に暖かい空気が滞留しにくいという問題があります。

コンクリートの床

工場の床は、耐久性や清掃のしやすさからコンクリートが多く採用されていますが、コンクリートは熱伝導率が高く、一度、冷えると底冷えを引き起こしやすくなります。

これが、従業員の足元から体温を奪う大きな原因の一つとなっています。

製品や材料の管理温度

食品工場では、品質保持のために特定のエリアで低温管理(冷蔵・冷凍)が求められる場合があります。

この低温エリアからの冷気が隣接する作業エリアに流れ出すことも、寒さの原因となることがあります。

これらの原因を踏まえ、企業(管理者)側で実施すべき有効な寒さ対策を解説します。

手洗い設備は温水対応を

冬場の寒い時期に冷たい水は敬遠されます。食品安全の視点からも重要な「しっかりした手洗い」は望めません。温水対応をすることで従業員の皆さんがしっかりした手洗いが出来る環境を整えてあげましょう。

暖房器具の設置

工場全体を温めるのが難しい場合、従業員が長時間作業するエリアや、特に寒さが厳しい場所にスポット的な暖房器具を設置することが有効です。

たとえば、赤外線ヒーターやスポット暖房などを活用し、作業者の周辺だけを効率よく温めます。

ビニールカーテンの設置

空間の広さが原因で暖房効率が悪い場合、ビニールカーテンを用いた「間仕切り」が非常に有効な対策になります。

ビニールカーテンで作業エリアと非作業エリアを区切ることで、暖気を逃がさず、暖房効率を大幅に改善できます。

また、出入口や搬入口に設置することで、外部からの冷たい風の侵入を防げます。

低コストで導入しやすい点もメリットです。

断熱対策

根本的な寒さの原因を解消するためには、断熱対策が有効です。

壁・屋根への断熱材・塗料の導入で外気温の影響を受けにくくし、建物全体から熱が逃げるのを防ぎましょう。

また、窓ガラスに遮熱塗料を塗布することで、室内の暖気が窓から流出するのを防ぎ、暖かさを保つことが可能です。

防寒仕様の作業着の支給

防寒仕様の作業着をユニフォームとして支給する方法です。

中綿入りや裏起毛など、保温性の高い素材を用いた作業着や防寒ベストなどが、防寒性が高いでしょう。

防寒小物:防寒手袋、防寒靴下、ネックウォーマーなどの防寒グッズを会社側で用意するのも、おすすめです。

企業側の対策に加え、従業員一人ひとりが日々の作業の中で実行できる寒さ対策や注意点を紹介します。

防寒着を身につける

まず、取り組みやすいのが服装面での対策です。

防寒ジャンパーなどの外衣

動きやすさを考慮しつつ、保温性の高いジャンパーやベストを着用します。

腕の動きを妨げないベストは、細かな作業を行う食品工場でも取り入れやすい対策の一つでしょう。

ヒートテックなどのインナー

体の熱を逃がしにくい保温性の高いインナーを着用することは、寒さをしのぐ第一歩です。

ただし、きつすぎるインナーは血流を悪くしてかえって冷えにつながるため、適切なサイズを選ぶことが大切です。

首・手首・足首を温める

体の中で皮膚の表面近くに太い血管が通っており、外気温の影響を受けやすい「首」のつく部位(首、手首、足首)を重点的に温めることで、全身が温まりやすく感じられます。

ネックウォーマー、リストウォーマー、足首ウォーマーなどを活用することが効果的です。

カイロ

現場によっては機械への鉄粉付着や事故につながる可能性があるため、使用可否を事前に管理者に確認することが重要です。

万が一製造ラインに落下、機械に巻き込まれたりした場合、粉塵が飛散し大きな悪影響がでる、また洗濯の視点からも、万が一ユニフォームのポケット内や貼りついたまま(裏に貼ってることが多いので検品でも気づけない)洗浄機械内で混入した場合も、粉塵飛散で洗浄ロット品がダメになるだけに留まらず、機械故障にまで発展し補償問題になりかねないです。

体操や運動

休憩時間などに軽く体を動かす体操や運動によって血行を促進でき、一時的に体温を上げることができます。

特に、足踏みやストレッチなど、冷えやすい下半身の血流を良くする動きを取り入れるのがおすすめです。

個人の防寒対策は非常に重要ですが、それだけでは限界があります。

特に、工場全体の温度管理や設備的な問題は、個人では解決できません。

従業員が快適に、そして安全に働ける環境を整えるためには、会社側が暖房設備の導入や断熱対策、適切な防寒着の支給などを積極的に行う必要があります。

従業員は、寒さに関する具体的な悩みや改善案を会社に伝え、会社はそれを受けて対策を講じるという連携が、より良い職場環境づくりには不可欠です。

労働安全対策とのバランス

工場での防寒対策は、従業員の安全を最優先に考える必要があります。

例えば、厚着をしすぎると動きが鈍くなり、機械への巻き込みや転倒などの事故につながる可能性があります。そのため、防寒着を選ぶ際は、保温性だけでなく、伸縮性や軽量性、そして作業の邪魔にならないデザインを重視しましょう。

また、ストーブなどの火器を使用する際は、火気厳禁の場所でないか、適切な換気がされているかを確認し、火災予防条例などの安全基準を遵守することが不可欠です。

安全に配慮した防寒対策を実施することで、労働災害のリスクを低減できます。

防寒対策と作業効率の維持

防寒対策は、作業効率の維持にも直結します。寒さによる集中力の低下や手足のかじかみは、作業ミスや品質低下の原因となるからです。

ヒーターベストのような電熱ウェアや、保温性の高いインナーは、着ぶくれせずに体温を保てるため、細かい作業や素早い動きが求められる現場で特に有効です。

また、足元からの冷えを防ぐ防寒マットは、立ち仕事の疲労軽減にもつながり、長時間の作業でも集中力を維持しやすくなります。

防寒対策は、作業員の快適性を高めるだけでなく、結果として生産性向上に貢献します。

安全基準・健康管理との連動

工場の寒さ対策は、単なる暖房設備の導入に留まらず、労働安全衛生基準や従業員の健康管理と連動させる必要があります。

冬季に入る前に、工場内の温度・湿度測定を定期的に行い、作業環境が適切に保たれているかを確認しましょう。

また、従業員に対して寒さによる健康リスクや、効果的な防寒対策についての教育を実施することも重要です。

インフルエンザ予防接種の費用補助や、温かい飲み物の提供、休憩時間の調整なども、健康維持に役立ちます。

これらの取り組みを通じて、従業員が健康で安全に働ける環境を構築することは、企業の社会的責任でもあります。

省エネルギー・環境配慮を意識した製品選び

現代の工場運営において、省エネルギーと環境配慮は避けて通れないテーマです。

寒さ対策においても、これらの要素を意識した製品選びが求められます。

例えば、断熱材や遮熱シートは、一度導入すれば長期的に暖房効率を高め、エネルギー消費を削減できます。

局所暖房を選ぶ際も、必要な場所を効率的に暖められる遠赤外線ヒーターや、電力消費の少ない機種を選ぶことが重要です。

また、ビニールカーテンは、安価でありながら空調効率を向上させ、省エネ効果が期待できます。太陽光発電システムや高効率な空調設備の導入も、長期的な視点で見れば環境負荷の低減とコスト削減を両立させる選択肢となります。

食品工場における寒さ対策は、単なる環境改善に留まらず、従業員の健康を守り、ひいては企業の生産性や製品の品質、そして人材の定着に直結する重要な経営課題です。

空間の区切りを作るビニールカーテンの導入や、防寒性に優れた作業着の支給といった企業側の取り組み、そして従業員一人ひとりのインナー着用や「首」のつく部位を温める工夫といった個人での対策を組み合わせることで、冬場でも快適で安全な作業環境を実現できます。

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