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食品工場における食中毒の原因や食中毒の対策方法、予防のための3原則を解説

食品工場における食中毒の原因や食中毒の対策方法、予防のための3原則を解説

食品工場では、毎日の生産活動の中で衛生管理が欠かせません。
特に、食中毒は消費者の健康を脅かすだけでなく、企業の信用にも大きな影響を及ぼします。
食中毒対策のためには、家庭や業務現場を問わず、正しい知識と予防策の理解が重要です。

この記事では、食品工場における食中毒の主な原因から、具体的な対策方法、予防の三原則に至るまで解説していきます。

食中毒とは、細菌やウイルス、有毒な化学物質などの毒素を含む飲食物を口から摂取した結果、下痢や嘔吐、発熱などの症状が起きることをいいます。

食中毒の原因は、次の5つに分類されます。

  • 細菌
  • ウイルス
  • 化学物質
  • 自然毒
  • 寄生虫

なお、ノロウイルス、カンピロバクター、サルモネラなどのウイルスや細菌を原因とする食中毒は、感染者の便や吐瀉物などに含まれる病原体が、二次的に食品を汚染することでほかの人にも感染を広げる可能性があります。

食中毒の原因となる代表的な細菌・ウイルス・寄生虫について、その特徴や感染経路、症状を簡潔にご紹介します。

腸管出血性大腸菌(O157など)

大腸菌そのものは家畜や人の腸内にも存在し、多くは無害です。
ただ、いくつかは下痢などを引き起こす病原大腸菌と呼ばれ、腸管出血性大腸菌もその一つです。
腸管出血性大腸菌は、牛などの家畜や人の糞便中に見つかることがあり、極めて少量でも感染します。

生または加熱不十分な牛肉、汚染された水や手指からの感染が多く、症状は激しい腹痛、下痢、血便、場合によっては溶血性尿毒症症候群(HUS)を引き起こすこともあります。

腸管出血性大腸菌の顕微鏡写真

図1 腸管出血性大腸菌
出典:内閣府食品安全委員会 「食中毒予防のポイント

カンピロバクター

動物の腸管、生殖器、口腔などに常在し、獣医師の間で古くから流産菌として知られていた細菌です。

国内の細菌性食中毒原因菌の中で発生件数が多い菌です。
生や加熱不十分な鶏肉料理や飲料水などが感染源となり、潜伏期間は1~5日程度。
症状は、下痢や腹痛、発熱、吐き気のほか、まれにギラン・バレー症候群という神経疾患を引き起こすこともあります。

カンピロバクターの顕微鏡写真

図2 カンピロバクター
出典:内閣府食品安全委員会 「食中毒予防のポイント

サルモネラ属菌

サルモネラ属菌は、主に動物の消化管に生息する腸内細菌の一種で、一部はヒトや動物に感染して病原性を示します。

鶏卵や食肉、ペットなどが感染源で、生や加熱不十分な卵料理に注意が必要です。
潜伏期間は12~48時間、主な症状は嘔吐や下痢、発熱、腹痛です。
乳幼児や高齢者は重症化するリスクが高くなります。

サルモネラ属菌の顕微鏡写真

図3 サルモネラ属菌
出典:内閣府食品安全委員会 「食中毒予防のポイント

黄色ブドウ球菌

黄色ブドウ球菌は人の皮膚や鼻腔に常在する菌で、傷口や手指を通じて食品に混入します。

産生される毒素は熱に強く、加熱調理して菌そのものが死滅しても無害化されません。
嘔吐や腹痛、下痢が主な症状で、発症までの時間が短い(2~4時間)のも特徴です。

黄色ブドウ球菌の顕微鏡写真

図4 黄色ブドウ球菌
出典:内閣府食品安全委員会 「食中毒予防のポイント

腸炎ビブリオ菌

腸炎ビブリオ菌は、海水中に存在する菌で、特に夏場に生魚や刺身類から感染します。
潜伏期間は、10~20時間ほどで、激しい腹痛、下痢、嘔吐が見られます。

適切に冷蔵していない魚介類が主な原因です。
真水や熱に弱いので、調理器具をよく洗い熱湯殺菌すれば防げます。

腸炎ビブリオ菌の顕微鏡写真

図5 腸炎ビブリオ菌
出典:内閣府食品安全委員会 「食中毒予防のポイント

セレウス菌

セレウス菌は、土壌や汚水など自然界に多く存在する好気性菌です。常在菌として、健康な成人の腸管の中にも存在します。

土が付きやすい穀類や豆類、香辛料などが主な感染源となり、炒飯やパスタなどの穀類、でんぷん質の食品などが原因食品となりやすいです。
菌は加熱に強く、調理後に常温で放置された食品で増殖します。

症状は、2つの型(嘔吐型・下痢型)があり、潜伏期間は、嘔吐型が30分~5時間、下痢型が6~15時間となります。

セレウス菌の顕微鏡写真

図6 セレウス菌
出典:国立健康危機管理研究機構 「セレウス菌感染症

ウエルシュ菌

ウエルシュ菌は、河川、下水、海、土壌中など自然界に広く分布する嫌気性の細菌です。
酸素の少ない環境で増殖しやすく、大鍋料理の再加熱が不十分な場合にリスクが高まり、煮込み料理や大量調理食品に多く見られます。
腹痛と下痢が主な症状ですが、多くは軽症で済みます。

ウエルシュ菌の顕微鏡写真

図7 ウエルシュ菌
出典:内閣府食品安全委員会 「食中毒予防のポイント

ボツリヌス菌

ボツリヌス菌は、土の中などに存在する嫌気性菌です。
毒素の抗原性の違いによって7種類の型に分類されるうち、人に対する中毒を起こすのは、A、B、E、F型です。

極めて強力な毒素を産生する菌で、家庭での密封保存食品や真空パック食品で発生することがあります。
潜伏期間は12~36時間で、症状は視力障害や筋力低下(食べ物を飲み込みづらくなるなど)、重症時には呼吸麻痺に至ることもあるため、要注意の菌種です。

ボツリヌス菌の顕微鏡写真

図8 ボツリヌス菌
出典:内閣府食品安全委員会 「食中毒予防のポイント

ノロウイルス

ノロウイルスは、冬場に流行するウイルス性食中毒の代表例で、非常に強い感染力を持ちます。
二枚貝などの貝類に蓄積されることがあり、これが原因で食中毒が発生することがあります。

感染者の便や嘔吐物を介した接触感染が主な経路で、調理器具や手指から食品に付着して感染が拡大します。
潜伏期間は1~2日で少量でも発症し、症状は嘔吐・下痢・腹痛が中心です。

ノロウイルスの電子顕微鏡写真

図9 ノロウイルス
出典:国立医薬品食品衛生研究所 「ノロウイルスとは

アニサキス

アニサキスは、サバやイカなどの生魚に寄生する線虫で、食後数時間以内に激しい腹痛を起こします。
冷凍や加熱で死滅しますが、刺身や寿司などの生食がリスクとなります。
物理的に目視での除去も予防に有効です。

魚に寄生するアニサキス

図10 アニサキス
出典:厚生労働省 「アニサキスによる食中毒を予防しましょう

食中毒は、原因となる細菌やウイルスなどが付着した食べ物を口にすることで、体内へ侵入して発生するため、食中毒の発生を防ぐためには、「つけない」「ふやさない」「やっつける」の3原則に基づいた対策を徹底することが基本となります。

つけない

食中毒菌の多くは、人の手指や調理器具、作業着、さらには従業員の体調不良からも食品に「つく」ことが感染の引き金となります。

交差汚染を防ぐためには、原材料と加熱後食品の作業エリアを分ける、器具やまな板を用途別に使い分ける、そして定期的に手洗いや消毒を実施することが基本です。

ふやさない

食中毒菌は、気温や湿度の条件が揃うと短時間で増殖します。
特に気温が20℃以上となる初夏から秋にかけては、食材を常温に放置することで菌が爆発的に増えるリスクがあります。
そのため、食材や製品の保管時には、冷蔵庫や冷凍庫で適正温度を保つことが重要です。
また、調理そのものを、できるだけスピーディに行うことが大切です。

さらに、大量調理時にありがちな「調理後の放置」にも注意が必要です。
できる限り速やかに冷却・保存し、提供時間まで適切に管理する体制を整えることが求められます。

やっつける

最後の原則は「やっつける」、すなわち加熱や殺菌により食中毒の原因菌を死滅させることです。
中心温度75℃以上で1分以上の加熱が基本とされており、特に肉や魚、卵といったリスク食材は十分な加熱処理が不可欠です。

また、まな板や包丁、調理器具、さらには作業スペースの定期的な洗浄・消毒も怠らないようにしましょう。
工場によっては、次亜塩素酸系の消毒剤やUV殺菌装置などを活用して、効果的な「やっつける」対策を講じています。

この3原則は、食品工場における基本中の基本でありながら、日常の業務に追われる中で見落とされがちな要素です。
従業員教育と組織的な管理体制をセットで運用し、食中毒ゼロの工場運営を目指しましょう。

また、食品衛生における7Sを守ることも、3原則の遵守につながります。

食中毒対策の基本である「つけない(持ち込まない)」を徹底するには、食品工場におけるあらゆる工程において、病原体を工場内に持ち込ませず、製品に付着させないための管理が不可欠です。

ここでは、現場の4つの主要項目に分けて管理のポイントを解説します。

原材料の管理

原材料は、その仕入れ段階からすでに食中毒リスクを内包していることがあります。
特に生鮮食品や水産物、肉類などは、生産時や輸送時に細菌や寄生虫が付着する可能性があります。
外装に破れなどがないかなど、納入時にチェックリストによる検品が必要です。

また、納入時の温度もチェックしましょう。運送業者に配送時の庫内温度記録を求めることも有効です。

さらに、仕入先の衛生管理体制が信頼できるかどうかを確認することも重要です。
サプライヤーとの間に品質保証書やHACCP対応の実施状況など、情報の共有体制を構築しておくと、原材料由来のリスク低減につながります。

納入された食材は、「先入れ先出し」で使用することも重要です。
先入れ先出しの管理を実施しやすい環境(例:搬入されたばかりの食材は奥に配置するなど)を作りましょう。

作業者の衛生管理

作業者自身が食中毒の原因となる菌やウイルスを工場内に持ち込んでしまうケースも少なくありません。
健康チェックシートによる体調確認や、下痢や嘔吐などの症状がある従業員の入室制限などが基本となります。

加えて、入室時の手洗いやアルコール消毒の徹底、帽子・マスク・手袋の正しい装着、爪の長さやアクセサリーの禁止などのルールは、日々の教育と点検を通じて習慣化を図ることが求められます。

作業服の管理

ユニフォームは、食品への菌の付着を防ぐバリアとして機能する一方で、管理が不十分だと逆に汚染源となってしまいます。

家庭での洗濯や自己管理では清潔さを十分に担保できず、衛生面のバラつきが生じるリスクがあります。

そこでおすすめなのが、白洋舍のユニフォームレンタルサービスのような、プロによる一括管理です。
定期的なクリーニング、汚れや破損時の交換、そして抗菌加工されたユニフォームの提供などにより、作業服を通じたリスクを大幅に軽減できます。
さらに、制服の管理業務をアウトソースすることで、バックオフィスの負担軽減にもつながります。

機械・調理器具の管理

加熱や加工に使う機械、まな板・包丁などの調理器具も、適切に洗浄・消毒されていなければ菌を「つける」原因となってしまいます。

特に、加熱前後で同じ器具を使い回したり、作業台を清掃せずに別作業を始めたりすると、交差汚染の温床となります。

器具ごとの使用ルールをマニュアル化し、洗浄後には乾燥・保管場所も徹底することが必要です。
また、定期的に消毒液の濃度や器具の摩耗状況を確認するチェック体制も重要な管理ポイントです。

食品工場における衛生管理の中でも、作業者のユニフォームは、外部から工場内へ食中毒の原因菌を「持ち込む」経路となり得るため、日々の管理が極めて重要です。
どれだけ手洗いや設備消毒を徹底しても、汚れたユニフォームを着たままではリスク管理が不十分といえるでしょう。

特に家庭でのユニフォーム洗濯では、洗浄力の限界や乾燥・保管環境のばらつきによって、十分な衛生状態を確保するのが困難です。
見た目がきれいであっても、目に見えないレベルの汚染が残っている可能性があるため、衛生管理においては「確実性」が求められます。

こうした背景から注目されているのが、プロによるユニフォームレンタルサービスの導入です。
たとえば、白洋舍が提供するユニフォームレンタルサービスでは、食品工場の衛生基準(HACCPなど)に則った専用のクリーニング処理を実施し、常に清潔なユニフォームを安定供給します。

工業洗濯と家庭洗濯の比較表

図11 工業洗濯(白洋舍)と家庭洗濯の比較表

また、破損・汚損のチェックや交換対応、保管・配送までをトータルで管理するため、作業者が毎日清潔なユニフォームを着用できる環境が整います。
これは食品衛生だけでなく、企業としてのコンプライアンス向上や、品質管理体制の対外的アピールにもつながる要素です。

ユニフォームの衛生管理は現場任せにせず、バックオフィス部門である総務・人事が支援すべき業務の一つです。
レンタルサービスの契約・運用管理を通じて現場と連携し、従業員が「清潔な状態で業務を始められる仕組み」を制度として整備することが、長期的なリスク回避とコスト削減の鍵となるでしょう。

食品工場における「食中毒対策」は、一朝一夕では成り立ちません。
食材の仕入れから製造、梱包、出荷に至るすべての工程で、原因菌やウイルスを「つけない」「ふやさない」「やっつける」という3原則を徹底することが、消費者の信頼を守る第一歩となります。

特に、作業者が着用するユニフォームの管理は、見逃されがちでありながら重要なリスク管理項目です。

食中毒のリスクをゼロに近づけるには、現場とバックオフィスの連携が不可欠です。
衛生対策は製品の品質向上だけでなく、企業全体の信用と持続的な成長にもつながります。
この機会に、貴社の衛生管理体制を見直し、実効性の高い仕組みづくりを進めてみてはいかがでしょうか。

白洋舍の食品工場向けのユニフォームレンタルサービスについて詳しくは、下記ページをご覧ください。

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