理研ビタミン・サーヴォ・白洋舍が実現した衛生管理改善プロジェクト ― 現場の声から生まれたインナーネット付き帽子 ―
食品工場において、毛髪混入対策は欠かせない衛生管理のひとつです。
一方で、衛生対策を強化するほど、現場で働く従業員の負担が増えてしまうという課題もあります。
理研ビタミン株式会社 草加工場では、従来から毛髪混入対策としてインナーネットを着用していました。 しかし、管理面や着用感に課題があり、改善が求められていました。
そこで理研ビタミン、ユニフォームメーカーのサーヴォ、そしてユニフォームレンタルを提供する白洋舍の 三社が連携し、新たな「インナーネット付き帽子」の開発をスタート。
現場の声を反映しながら試作と改良を重ね、衛生管理の向上と従業員の負担軽減を実現しました。
今回は、開発当時に草加工場で本プロジェクトを担当していた理研ビタミンの小松さん、帽子開発を担当したサーヴォの工藤さん、ユニフォーム運用・クリーニング面から支援した白洋舍の入江さんにお話を伺いました。
理研ビタミン株式会社は、「ふえるわかめちゃん®」や各種ドレッシング製品などを展開する食品メーカーです。草加工場では主にドレッシングやエキス調味料などを製造しています。
衛生管理と着用負担、両方の課題を抱えていた従来の帽子
食品工場では、毛髪混入対策は重要なテーマです。しかし従来の運用では、衛生管理と従業員の負担軽減を両立することが難しい状況がありました。まずは当時抱えていた課題について伺いました。
毛髪混入対策として使われていたインナーネット
━━ 小松さん
従来の帽子では短い毛髪が縫い目を突き抜けてしまう「突き刺し」を予防するため、帽子の内側にインナーネットを着用する運用を行っていました。
ただ、このインナーネットは従業員から評判が良くありませんでした。蒸れやすいですし、長時間着用するとおでこに食い込んで痒くなることもありました。
従来使用していた帽子(左)とインナーネット(右)。
毛髪混入対策として二重着用を行っていた。
衛生管理のばらつきと従業員負担が課題に
━━ 小松さん
もうひとつ大きかったのが管理面です。インナーネットは工業洗濯に対応していなかったため、個人管理してもらう必要がありました。
個人貸与となることで、破損損交換基準や衛生管理を統一したいと思っても、なかなか実現できない状況でした。
━━工藤さん
他社さんでも似たような課題はあると感じていました。確実に着用してもらうことと、個人管理に頼らず衛生状態を維持すること。その両方を実現できる方法が求められていたと思います。
「まず相談してみよう」から始まった三社での改善活動
今回の取り組みは、最初から帽子開発を目的として始まったわけではありません。背景にあったのは、長年積み重ねてきた三社の信頼関係でした。
中央:理研ビタミン株式会社 人事部人事室 労務支援チーム 主事 小松隼人さん
右:株式会社サーヴォ 営業本部 営業3部営業1課 主任 工藤光也さん
左:株式会社白洋舍 ユニフォームレンタル東部事業所 課長 入江康一郎さん
信頼関係があったからこそ相談できた
━━ 小松さん
実は「新しい帽子を開発しよう」と決めていたわけではありません。
ただ、入江さんや工藤さんとは以前からさまざまな取り組みを一緒に進めてきた経緯があり、「相談すれば何か返してくれるだろう」という信頼感がありました。 だからこそ、「こういう課題があるんですけど」とまず相談してみようと思えたんです。
私は展示会などにもよく足を運ぶのですが、サーヴォさんのユニフォームは着心地が良く、白洋舍さんは運用や管理の視点から非常に鋭い提案をしてくださいました。この二社なら一緒に良いものづくりができると感じていました。
理研ビタミン・サーヴォ・白洋舍の三社で開発したインナーネット付き帽子
試作・検証・改善を素早く繰り返す体制
━━ 工藤さん
ご相談を受けてから、インナーネットを帽子と一体化する方向で試作を始めました。 帽子とネットが別だと着用や管理の負担が生じるため、着用しやすさと衛生管理の両立を目指したいと考えていました。
そのうえで、ネットの固定方法や被り心地などについて複数パターンの試作品を作成し、比較・検証を進めました。
━━ 入江さん
帽子の仕様を検討する段階で、白洋舍では実際のクリーニング工程に耐えられるかを確認しました。せっかく良いアイデアでも、レンタル運用の中で品質を維持できなければ意味がありません。
試作品ができるたびに洗濯耐久性を検証しながら、安心して運用できるかを確認していました。
━━ 小松さん
試作品ができたら現場で試着してもらい、改善点が出たら再度フィードバックする。そのたびに工藤さんが改良し、入江さんが洗濯耐久性を確認してくださいました。
開発、検証、改善のサイクルをスピーディーに回せたことが成功の大きな要因だったと思います。
現場の声を反映しながら改良を重ねた帽子開発
今回の帽子開発で特に重視されたのは、実際に着用する従業員の声でした。
製造現場の意見を最優先にした開発
━━ 小松さん
私が最も重視したのは、長時間着用する製造課の従業員の意見です。 現場の声を無視して進めると、どこかで必ず頓挫します。
だから製造現場を中心にヒアリングを行い、着心地や使い勝手について細かく確認しました。
長時間着用でも快適な仕様を追求
━━ 工藤さん
額への負担を軽減するため、ゴムの強さや構造も調整しました。 被りやすさと耐久性のバランスを考えながら検証を繰り返した結果、現在の形にたどり着きました。
長髪の従業員にも対応できる設計
━━ 工藤さん
長髪の方でも問題なく収納できるか確認するため、サーヴォ社内でも腰まで髪を伸ばしていた社員にも協力してもらいました。
実際に髪をまとめて帽子へ収納してみたところ問題なく収まり、自信を持って提案できる仕様になりました。
衛生管理の向上と従業員負担の軽減を実現
完成したインナーネット付き帽子は、衛生管理の向上だけでなく、働く人たちの負担軽減にもつながりました。
管理業務を効率化し衛生管理を標準化
━━ 小松さん
インナーネット部分も帽子と一緒にクリーニングできるようになったことで、衛生管理をより標準化できるようになりました。
インナーネットの着用忘れや破損確認、在庫管理も不要になり、管理面での負担軽減にもつながっています。
━━ 入江さん
インナーネットを帽子と一体化することで、ユニフォームと同じサイクルでクリーニングできるようになりました。
レンタル品として管理しやすくなっただけでなく、お客様側の管理負担軽減にもつながったと感じています。
男性従業員からは「手間が減った」
━━ 小松さん
男性従業員からは、「ネットと帽子を別々に管理しなくてよくなった」という声が多くありました。
着用時も洗濯時も手間が減ったことを喜んでもらえました。
女性従業員からは「額の跡がつかなくなった」
━━ 小松さん
私自身、開発時には気付いていなかったのですが、女性従業員から非常に喜ばれた点があります。 従来のインナーネットは、お団子状に髪をまとめるとゴムがおでこに強く当たり、仕事終わりに跡が残ってしまうことがあったそうです。 新しい帽子ではそうした悩みが大きく改善され、「仕事帰りにそのまま買い物へ行けるようになった」という声もありました。
三社が振り返るプロジェクトの価値
開発プロジェクトを振り返り、三人に印象に残っていることを伺いました。
「とにかく楽しかった」が共通の感想
━━ 入江さん
率直に言うと、「とにかく楽しかった」というのが一番印象に残っています。
三社とも同じ方向を向いていましたし、「どうしたらもっと良くなるか」を考えながら取り組めたプロジェクトでした。
━━ 小松さん
私も本当に楽しかったです。
完成した帽子を従業員が喜んでくれたり、社内の他工場の従業員から「それはどこの帽子ですか」と聞かれたりすると、方向性は間違っていなかったんだなと感じました。
現場・メーカー・レンタル会社が同じ方向を向く重要性
━━ 工藤さん
現場の声を直接聞きながら開発を進められたことは非常に大きかったと思います。
提案に対してすぐにフィードバックをいただけたので、改善のスピードも速く、完成度の高い製品につながりました。
食品工場の未来につながる改善活動
━━ 小松さん
今回の取り組みを通じて、自社だけでは解決できない課題でも、信頼できるパートナーと一緒なら解決できる可能性があることを実感しました。
これから食品業界を取り巻く環境はさらに変化していくと思います。その中でも働く人たちが気持ちよく働ける環境づくりはますます重要になります。 だからこそ、これからも現場の声を聞きながら改善を続けていきたいですね。
今回ご登場いただいた理研ビタミン株式会社のユニフォームレンタル導入事例もぜひご覧ください。
まとめ
今回の「インナーネット付き帽子」開発は、単なるユニフォームのリニューアルではありませんでした。 理研ビタミンが抱えていた衛生管理上の課題に対し、現場の声を起点として、白洋舍のユニフォーム運用・クリーニングの知見、サーヴォの開発力を結集しながら実現した改善プロジェクトです。
完成した帽子は、毛髪混入対策の強化だけでなく、衛生管理の標準化や従業員の負担軽減にもつながりました。さらに、現場で働く従業員の声を丁寧に拾い上げることで、働きやすさの向上という新たな価値も生み出しています。
そして何より印象的だったのは、 「まず相談してみる」という小さな一歩から改善が始まったことです。 今回の取り組みは、 現場の課題を共有し、それぞれの専門性を持つパートナーとともに解決策を考えることの大切さを教えてくれます。
食品業界に限らず、職場環境や衛生管理の改善に終わりはありません。だからこそ、現場の声に耳を傾け、パートナー企業とともに改善を積み重ねていくことが、より良い職場づくりへの第一歩になるのではないでしょうか。

協力:株式会社サーヴォ
食品・サービス業向けユニフォームの企画・製造・販売を手掛けるユニフォームメーカー。本プロジェクトでは、理研ビタミンの現場課題をもとにインナーネット付き帽子の設計・試作に協力。
編集者:ユニフォームレンタル事業部
ユニフォームやユニフォームレンタル、ユニフォームを着用される業界情報などを中心にお役立ち情報を発信してまいります。








