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食品工場の衛生管理における身だしなみの基本や注意したいポイント

食品工場の衛生管理における身だしなみの基本や注意したいポイント

食品工場においては、製品の安全性や品質を保つ上で、衛生管理が重要です。
特に、従業員の身だしなみは、衛生基準を満たすための基本中の基本として必要不可欠です。

近年、日本国内の食品工場では、HACCP基準の遵守や従業員教育に力を入れる動きが増加しており、これに伴い身だしなみの重要性も改めて見直されています。

そこで本記事では、食品工場の衛生管理における身だしなみの基本と、特に注意すべきポイントを詳しく解説します。

食品工場における衛生管理は「HACCP」が基本

食品工場での衛生管理は、製品の安全性を確保するために基本となる取り組みです。
なかでも「HACCP(ハサップ)」は、現在の食品工場における衛生管理のスタンダードとして広く採用されています。

HACCPは、食品の製造工程全体において発生する可能性のある危害要因を分析し、未然に防ぐ管理手法です。
HACCPを導入することで、消費者に安心して食品を提供できます。

HACCPは、日本国内では2018年に公布された改正食品衛生法によって、ほぼすべての食品事業者に義務化されました。

これに伴い、多くの食品工場では、HACCPに基づく衛生管理を実施しています。
衛生管理の徹底は、単に法令遵守だけでなく、企業の信頼を高め、消費者や取引先からの評価向上にもつながります。

HACCPを導入する際には、以下の7つの原則を守ることが必要です。

  • 危害要因分析を実施する
  • 重要管理点(CCP)を設定する
  • 管理基準(CL)を設定する
  • CCPのモニタリングを行う
  • 修正措置を定める
  • 検証方法を設定する
  • 文書化と記録の管理を徹底する

これらの手順を確実に実施することで、食品工場全体の衛生レベルを高めることが可能です。

HACCPの導入による食品工場へのメリット

食品工場にHACCPを導入することで、品質保証や安全性の向上など、企業にとってさまざまなメリットが生まれます。

製品の安全性が向上する

HACCPは、製造プロセスのあらゆる段階で発生し得るリスクを徹底的に分析し、重要管理点(CCP)を特定する仕組みです。
このため、食品の汚染や異物混入のリスクを最小限に抑えることができます。
これにより、消費者の信頼を獲得しやすくなり、リコールや返品によるコスト軽減にもつながります。

従業員の意識向上とスキルアップを図れる

HACCP導入は、従業員教育の充実を求めます。
手順に基づいた作業が徹底されるため、従業員一人ひとりの意識が高まり、衛生に対する責任感が向上します。
また、具体的な作業手順を学ぶことで、スキルアップにもつながります。

法令遵守と市場競争力を強化できる

日本国内では、2018年の改正食品衛生法により、HACCPに基づく衛生管理が義務化されました。
この対応により、法令を遵守している証拠を示せることは取引先や顧客からの信頼を得る要因となります。
また、海外市場に進出する際にも、国際的な食品安全基準を満たしていることが有利に働きます。

作業効率の向上とコスト削減を図れる

HACCPでは、文書化された手順や記録の徹底が求められるため、業務プロセスが標準化されます。
これにより、作業効率が向上し、不必要な工程や無駄を排除できます。
さらに、不適合品の発生が減るため、廃棄コストや損失も削減できます。

緊急時対応能力を向上できる

HACCP導入後は、異常が発生した際の修正措置を計画し、迅速に対応できる体制を構築できます。
これにより、問題が拡大する前に対応が可能となり、損害の軽減が図れます。

ISO 22000/FSSC 22000とは?食品工場での活用ポイント

ISO 22000とFSSC 22000は、食品業界で高い評価を受けている国際的な食品安全マネジメントシステム規格です。
これらの認証を取得することで、食品工場は衛生管理基準の向上や、取引先・消費者からの信頼確保が可能となります。

それぞれの特徴と導入のメリットをご紹介します。

ISO 22000とは

ISO 22000は、食品安全管理の国際標準規格として2005年に制定されました。
この規格は、食品製造から流通、販売に至るすべての段階での安全性を確保するための管理手法を規定しています。
HACCPの手法を基盤にしており、リスクの特定や管理プロセスの徹底が特徴です。

  • 適用範囲…食品製造、加工、包装、物流など、食品に関わるすべてのプロセス
  • 主な目的…食品事故を防止し、製品の安全性を保証すること
  • 導入メリット…消費者や取引先に対し、製品の安全性を証明できる

FSSC 22000とは

FSSC 22000(Food Safety System Certification)は、ISO 22000を基盤としながら、さらに食品業界特有の要求事項を追加した規格です。

特に、食品パッケージや添加物などの製造業者にも対応可能な仕様になっています。

  • 適用範囲…食品加工品や原材料供給業者など、幅広い食品関連業務
  • 追加要件…ISO 22000に加えて、詳細な前提条件プログラムや規制要件の適合が求められます
  • 認証メリット…グローバル市場での取引機会の増加や、国際的な信用の獲得

ISO 22000/FSSC 22000の食品工場への導入メリット

ISO 22000とFSSC 22000の主な導入メリットは、次の3点です

品質保証と信頼の向上

ISO 22000/FSSC 22000を導入することで、食品工場は衛生管理や食品安全基準を世界レベルに引き上げられます。
認証取得は、取引先や消費者に対する信頼の証となり、新たなビジネスチャンスの創出にもつながります。

リスク管理の強化

ISO 22000/FSSC 22000では、食品安全リスクを体系的に管理する手法が確立されています。
このため、導入によって異物混入や微生物汚染などのリスクを未然に防ぐことが可能になります。

業務効率の向上

ISO 22000/FSSC 22000の規格導入により、食品製造工程の標準化と記録管理が進むため、無駄な作業を削減し、効率的な運営を実現できます。
これが、コスト削減や従業員の負担軽減にもつながります。

食品工場における衛生管理の基本「5S」

「5S」とは、「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「躾」の頭文字を取ったものです。
作業環境を整えるための基本的なフレームワークとして広く知られています。
5Sを徹底することで、作業環境の効率化や従業員の安全確保だけでなく、製品の品質向上にもつながります。

以下で、それぞれの「S」の具体的な内容と、食品工場における適用例をご紹介します。

1.整理(Seiri):必要なものと不要なものを分ける

食品工場では、作業に必要な道具や原材料を適切に管理し、不要なものを廃棄することが大切です。
整理を行うことで、異物混入や作業効率の低下を防ぐことができます。

「整理」のポイント

作業エリアごとに「必要」「不要」を判別するチェックリストを用意し、定期的に見直しましょう。

2.整頓(Seiton):必要なものを使いやすく配置する

整頓とは、必要な道具や材料をすぐに取り出せるように配置することです。
食品工場では、衛生的な収納が特に重要で、汚れや異物が入り込まない工夫が必要です。

「整頓」のポイント

ツールや備品の収納場所にラベルを貼り、誰が見てもわかりやすい状態を保つようにしましょう。

3.清掃(Seiso):作業場所をきれいに保つ

清掃とは、作業エリアを常に清潔に保つ活動全般を指します。
食品工場では、製品に直接触れる設備や作業台などを重点的に清掃することが大切です。

「清掃」のポイント

毎日の清掃スケジュールを設け、責任者を明確にします。
また、使用する清掃用品も衛生基準を満たしたものを選びましょう。

4.清潔(Seiketsu):衛生状態を維持する

清潔とは、整理・整頓・清掃を継続的に実施し、衛生基準を維持する取り組みを指します。
食品工場では、従業員の衛生管理も清潔の一部として含まれます。

「清潔」のポイント

ユニフォーム管理を徹底し、定期的なクリーニングを実施することで、衛生状態を高く保つことができます。
たとえば、白洋舍のユニフォームレンタルサービスを活用すれば、プロフェッショナルな衛生管理が可能です。

5.躾(Shitsuke):規律を守り、習慣化する

躾とは、整理・整頓・清掃・清潔を習慣化し、全員が規律を守る文化を形成することを意味します。
食品工場では、従業員全員が衛生管理を自発的に実行する体制が重要です。

「躾」のポイント

定期的に研修や職場巡回を実施し、従業員に「5S」の重要性を認識させましょう。

食品工場の衛生管理における身だしなみの基本

食品工場での衛生管理は、製品の安全性や品質を確保するための重要な柱となります。
なかでも、従業員の身だしなみは異物混入や汚染防止に直結するため、厳密なルールと管理が求められます。

以下で、食品工場における身だしなみの基本について、具体的なポイントを解説します。

常に清潔なものを着用する

食品工場では、従業員の服装が製品の衛生状態に直接、影響を与えます。
そのため、ユニフォームや作業着は、常に清潔な状態を保つことが大切です。
使用後は適切にクリーニングし、必要に応じて交換しましょう。

  • ユニフォームは毎日新しいものに交換する。
  • 専門業者によるクリーニングサービスを利用して、衛生基準を満たした洗浄を行う。

白洋舍のユニフォームレンタルのようなサービスを活用することで、手間を減らしつつ衛生的な管理を実現できます。

食品工場における服装の基本

食品工場での服装には、汚染や異物混入を防ぐためのさまざまな配慮が必要です。
ユニフォームは、袖口や裾にホコリや異物がたまりにくいデザインが一般的です。
また、静電気防止機能や通気性も重要な要素です。

ポイント:

  • ポケットはないものが望ましい。
  • ボタンの代わりにテーピースナッパーやコイルファスナーを採用することで、外れるリスクを回避する。
  • 靴や帽子にも衛生機能を付加したものを選定する。
  • 自分の身体に合ったサイズのユニフォームを着用する。

食品工場におけるユニフォーム・白衣の正しい着用の仕方

ユニフォーム・白衣は、正しい手順で着用しなければ、せっかくの衛生対策が台無しになってしまいます。
食品工場では、着用手順や注意点を従業員に徹底的に教育する必要があります。

正しい着用手順:

  • 更衣室で私服を脱ぎ、清潔なユニフォームに着替える。
  • ユニフォーム着用後、帽子とマスクをしっかりと装着する。
  • 靴は専用のものに履き替え、靴底洗浄機を利用する。
  • 手洗いを行い、必要に応じてアルコール消毒を実施する。

食品工場の衛生管理で注意したいポイント

食品工場での衛生管理では、特に従業員個々の衛生習慣が食品の安全性を左右します。
ここでは、食品工場で働く際に注意すべき具体的なポイントを解説します。

爪は短く切る

食品工場では、従業員の爪を短く整えることが必須です。
長い爪には汚れが溜まりやすく、異物混入のリスクが高まります。
清潔な爪を保つことで、製品への影響を最小限に抑えられます。

手に傷があるときは調理しない

手に傷がある場合、そこから細菌が繁殖する可能性が高まるため、調理や食品に直接触れる作業を避ける必要があります。

傷がある場合は、適切な防水バンデージを使用するか、代わりの作業を割り当てることが大切です。

髪型に注意する

食品工場では、髪の毛が食品に混入しないよう、適切なヘアネットやキャップを着用することが重要です。
また、長髪の場合は髪をまとめ、キャップの中に完全に収める必要があります。

時計やアクセサリーを外す

時計やアクセサリーは異物混入の原因になるため、食品工場内での着用は禁止されています。
結婚指輪のような外せないアクセサリーがある場合は、手袋で完全に覆うなどの対応が求められます。

着衣に粘着ローラーをかける

作業着やユニフォームには、微細なほこりや繊維が付着することがあります。
作業開始前に粘着ローラーを使用し、これらを除去することで、食品への影響を防止できます。

休憩時やトイレの際には作業着を脱ぐ

食品工場では、休憩時やトイレに入る際には必ず作業着を脱ぎ、清潔な環境を維持することが重要です。
こうして、休憩室やトイレでの汚染を作業エリアに持ち込むリスクを減らせます。

出勤時の私服とユニフォームの交差汚染を防ぐ

出勤時の私服とユニフォームが交差汚染しないよう、保管場所を分けるよう注意することもポイントです。

食品工場の衛生管理で、従業員への指導を徹底するには?

食品工場の衛生管理を徹底するには、従業員一人ひとりが衛生基準の重要性を理解し、適切に行動することが大切です。
ルールを設定するだけでなく、その背景を丁寧に説明し、従業員の意識改革を促す指導が必要です。

以下で、従業員への指導を効果的に進めるためのポイントを解説します。

服装・身だしなみをルール化する

食品工場の衛生管理では、服装や身だしなみに関するルールを明確に定めることが大切です。
具体的には、作業エリアごとのユニフォームやキャップ、手袋の着用基準などを文書化し、従業員全員に共有します。

服装・身だしなみのルール化のポイント

  • 詳細な基準の提示…「作業エリアごとに異なる服装の指定」「ユニフォームは毎日洗濯済みのものを使用」など具体的なガイドラインを設定しましょう。
  • チェックリストの導入…作業前に身だしなみを確認するためのチェックリストを活用し、自己点検を習慣化させましょう。
  • 視覚的なツール…ルールをわかりやすく伝えるために、ポスターやイラストを使用し、職場の目につく場所に掲示しましょう。

 

なぜこのルールが必要かを示す

ルールを守る重要性を理解してもらうためには、その理由を具体的に説明することが効果的です。

「なぜそのルールが必要なのか」を示すことで、従業員は自分の行動がどのように製品の安全性や工場全体の品質に影響を与えるのかを実感できます。

具体的な手法

  • 異物混入の事例を共有する…実際に発生したトラブルの事例を紹介し、ルールを守らないことで生じるリスクを視覚化しましょう。
  • HACCP基準との関連を説明…ルールがHACCPの重要管理点に基づいていることを説明し、国際的な食品安全基準との関連性を強調しましょう。
  • 図解や動画の活用…ビジュアル化した資料や教育用動画などを使用して、ルールの重要性をわかりやすく伝えましょう。

ルールを徹底するための意識改革をする

従業員の意識を変えるためには、単なる指示ではなく、自発的に衛生管理を徹底する意識を育てることが重要です。

日々の業務にルールを落とし込み、従業員全体で「当たり前の文化」として浸透させることを目指しましょう。

実践的な方法

  • 定期的に研修を行う…新入社員だけでなく、既存の従業員に対しても定期的なトレーニングを行い、衛生管理の重要性を再認識させます。
  • 現場でのロールプレイ…実際の現場で想定されるトラブルに基づいたシナリオを使用し、ルールの適用方法を練習します。
  • 従業員からのフィードバック…現場で働く従業員から意見を集め、ルールが実際に守りやすいかを確認しましょう。こうすることで、従業員がルールに対して能動的に関与する意識を高められます。
  • ポジティブなフィードバックを行う…ルールをしっかり守っている従業員や、工場全体の衛生レベル向上に貢献したチームを表彰することで、モチベーションを維持できます。

 

まとめ

食品工場における衛生管理は、製品の品質と安全性を守るための基盤となります。
その中で、従業員の身だしなみは、異物混入や衛生事故を防ぐ上で非常に重要な役割を果たします。
適切なユニフォームの着用、身だしなみの基本ルールの遵守、そして徹底した教育による意識改革が、衛生管理のレベルを高める鍵となるでしょう。

食品工場の衛生管理は一朝一夕で完璧にできるものではありません。
しかし、日々の努力と改善を積み重ねることで、より安全で高品質な製品を消費者に届けることが可能になります。
これを機に、貴社の衛生管理体制を見直し、さらに強化してみてはいかがでしょうか?

 

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