食品ユニフォームは本当に白でなければならないのか? サーヴォが挑む「固定概念を問い直すものづくり」
食品工場のユニフォームと聞くと、多くの人が「白」を思い浮かべるのではないでしょうか。清潔感があり、汚れや異物を見つけやすい白は、食品の安全・安心を支えてきた大切な色です。
一方、株式会社サーヴォでは、アイスブルー、ラベンダー、ネイビー、メロン、テラコッタ、エッグイエロー、アップルグリーンなど、食品工場向けユニフォームのカラー展開を進めています。
2022年にはアイスブルーとともに「食品工場白衣の概念を変えませんか?」というメッセージを打ち出し、2026年夏には新たに3色を追加。 現在はユニフォーム8色、帽子7色を展開しています。
なぜ、食品ユニフォームに色を取り入れようと考えたのでしょうか。
今回は、商品開発・品質管理を担当する中馬さんと、営業担当の工藤さんに、カラー展開の背景とものづくりへの考え方を伺いました。
食品工場・フードサービス・オフィス・メディカル分野などのユニフォームを企画・製造・販売するユニフォーム総合メーカー。食品工場向けでは「涼みドライ」「アスリードⓇ」などを展開し、安全性、快適性、機能性を追求したものづくりに取り組んでいます。
食品ユニフォームは「白が当たり前」だった
中馬さんが初めて食品白衣や医療白衣に関わったのは1998年。当時は「異物や汚れが一目で分かるように、絶対に白」だと疑いもしなかったといいます。
左:商品本部 企画生産1部 部長 兼 品質管理室長 中馬禎之さん
右:営業本部 営業3部営業1課 主任 工藤光也さん
中馬さん
もう、そういうものだと思っていました。それしかないでしょう、という感覚でしたね。
白には、清潔感や汚れへの気づきやすさという役割があります。 サーヴォのカラー展開も、白を否定するところから始まったわけではありません。白の価値を認めたうえで、開発を続ける中で新たな問いが生まれました。
中馬さん
本当に上下、頭からつま先まで白でなければダメなのか。そう自問自答を繰り返しました。
「本当にそうなのか」を問い続ける
今回の取材で印象的だったのは、カラーの話以上に、中馬さんのものづくりに対する姿勢でした。
仕事で大切にしている考え方の一つが「健全な批判精神」(批判的思考)です。ここでいう批判とは、否定することではなく、より良い答えを探すために前提や背景、裏付けを確かめることです。
中馬さん
今までこうだから、うちのルールはこうだから、というものはあります。
でも、じゃあそれが本当に正しいんですか?、とは考えます。

その姿勢は情報の扱いにも表れています。AIやSNS、画像検索などは便利な一方、自分の興味に近い情報ばかりが集まりやすくなります。
中馬さんは、情報の出どころや、別の見方がないかを確認すると話します。 食品ユニフォームのカラー展開も、「白が当たり前」という慣習をそのまま受け入れず、理由を確かめるところから始まりました。
カラー展開は「色を増やすこと」が目的ではなかった
サーヴォのカラー展開には、「働くことは自由で楽しい!(FUN! FUN! FAN!)」というメッセージも関係しています。コロナ禍の閉塞感の中で、働く人が自由に、心地よく、自分らしく、笑顔で働くことを大切にしたいという思いから、カタログの打ち出しとして生まれました。
ただし、食品工場向けユニフォームでは、安全性や機能性が最優先です。自由や楽しさを取り入れるにも、守るべき前提があります。
中馬さん
自由を大切にするには、結果責任をしっかり持つことです。
カラーを増やしても、異物混入対策や毛髪落下対策などの基本設計は変えていません。 色を増やすこと自体ではなく、安全性と機能性を保ちながら、働く人と現場にとっての選択肢を増やすことが目的です。
白も、カラーも、設計している
カラーに目が向きがちですが、サーヴォは白そのものも設計しています。 2021年に「涼みドライ」を発売した際には、過度な白をやめ、白の質感を見直しました。従来は青みの強い白が中心でしたが、少しマットで落ち着いた白へと変えています。
工藤さん
従来の白とは少し違うんです。できる限り「白という白」にしたいという思いがありました。
染色工場には「白はこういうもの」というイメージがあり、管理を続けなければ以前の青みが強い白へ寄っていくことがあるそうです。アイスブルーも、一般的なサックスに近づきすぎないよう常に確認を続けています。
中馬さん
アイスブルーも、どんどんサックスに近づいていってしまう。
青みが強いと顔が青ざめて見えるので、そこはこだわっています。
素材によって光の反射や染料の入り方が異なり、染色は毎回100%同じ色になるとは限りません。工場内の照明や明るさによっても見え方は変わります。
カラー展開の裏側には、色を決めるだけでなく、狙った色を継続して守る品質管理があります。
アイデアは食品業界の外にもある
中馬さんの情報収集は、食品ユニフォーム業界の中だけにとどまりません。
食品工場を設計する企業に「最近はどのような床の色が採用されるのか」と尋ねたこともあるといいます。 床とユニフォームを近い色でまとめたい現場もあれば、対照的な色にして人の存在を分かりやすくしたい現場もあるからです。
また、スポーツウェア、化粧品、お菓子のパッケージにも目を向けます。 今、性別を問わず使われる商品にどのような色が採用されているのか。それらを観察し、ジェンダーに関係なく着用しやすい色づくりの参考にしています。
中馬さん
好奇心だけは失わないようにしています。

日常で目に入るものや、人との何気ない会話にも、ユニフォームづくりのヒントがある。その視野の広さが、食品工場の新しい選択肢につながっています。
色分けに「正解」はない
カラーは、工程管理、衛生管理、視認性の向上などに活用できます。 例えば、自然と目を引く色を安全面や要注意ラインに取り入れるという考え方があります。メロン(黄赤)やエッグイエロー(黄)は、JISの安全色も意識して設計されています。
一方で、サーヴォは「この工程にはこの色」と決めつけていません。
中馬さん
色分けについても、工場長や品質管理のメンバーに自由に考えてもらいたい。
この色はこの工程におすすめ、というような正解はありません。
目立たせたい汚れもあれば、作業上、目立ちにくくしたい汚れもあります。白が適した現場も、カラーが合う現場もあります。
メーカーが答えを押し付けるのではなく、当事者が自分たちの課題を考えられるよう、選択肢を用意することがサーヴォの姿勢です。
お客様の「潜在ニーズ」が見えてきた
カラー展開を始めた当初、社内には 「本当に売れるのか」「食品工場で受け入れられるのか」という懐疑的な雰囲気もあったそうです。
それでも企画の狙いを持って展開を進め、展示会や採用事例を通じて反応を確かめてきました。
工藤さん
色が増えてから、展示会でも 「カラフルなところですよね」と言っていただくようになりました。
最終的に白を選ばれたとしても、色が豊富なことは話のきっかけになります。
そして、色を見たお客様から新しい要望が生まれ、8色展開へと広がりました。
中馬さん
カラーを出すことによって、お客様が「あ!」と気づいてくれた。
潜在ニーズが見えてきたという感覚があります。
メーカー側が一方的に色を増やしたのではなく、提案を見たお客様が自分たちの課題に気づき、その声を受けて選択肢が広がっていったのです。
取材で聞いた、お気に入りカラーコーディネート
今回の取材では、中馬さん・工藤さんそれぞれに、お気に入りのカラーコーディネートも伺いました。

中馬さんお気に入り
- 帽子:ラベンダー
- 上着:アイスブルー
- ズボン:テラコッタ
アイスブルーとテラコッタは、中馬さんが「一番やりたかった」と話す組み合わせです。
工藤さんお気に入り
- 帽子:白
- 上着:白
- ズボン:アイスブルー
工藤さんは、アイスブルーと白の組み合わせを「見ていてきれい」「気持ちいい」と表現しています。
着てみて、感じる価値
色も着心地も、カタログだけでは伝わりきらない部分があります。サーヴォが大切にしているのは、実際に着用して体感してもらうことです。
中馬さん
「着てもらえれば勝ち」というところは重視しています。
着用して、体感してもらう機会を増やせるといいですね。
工藤さん
涼みドライは、1回着てみてくださいとお伝えすると、着た後に「良かったです」と言っていただくことが多いです。
「白が当たり前」と思っていた人が実物の色を見たり、着心地を確かめたりすることで、「今はこういう選択肢もある」と気づく。その体験が、職場のユニフォームを改めて考えるきっかけになります。
白もカラーも、押し付けない
サーヴォは、カラーを展開しているからといって「これからはカラーでなければならない」と考えているわけではありません。白衣は白のほうがよいという価値観も、それぞれの企業や現場が理由を持って選んでいるものです。
中馬さん
目立つようにしたい、目立ちにくくしたい。
それぞれのニーズに応えられるようなカラー展開にしています。
白を否定せず、カラーも押し付けない。現場ごとに異なる課題に向き合い、働く人がより快適に、安心して働ける選択肢を示す。それが、サーヴォのカラー展開です。
また、中馬さんは、未来についても一つの方向に決めつけていません。
中馬さん
大きく時代が進化し変われば、白だけで良いと思うかもしれません。

今はカラーという選択肢が新しい価値を生み出している一方で、将来もそれが唯一の正解とは限らない。常識を問い直すということは、カラーが正しいという新たな固定概念さえ持たないことなのかもしれません。
まとめ:働く人に寄り添うために、常識を問い直す
今回の取材を通じて見えてきたのは、サーヴォのカラー展開が単なる「色の追加」ではないということでした。 白には白の価値がある。それでも、本当に白だけで良いのか。働く人にとって、もっと快適で、安心できる選択肢はないのか。その問いから、現在のカラー展開が生まれています。
そして、その背景にあるのが「本当にそうなのか」を確認し続ける姿勢です。 業界の中だけでなく、スポーツや化粧品、お菓子、工場の床など、さまざまなものに目を向ける。ユーザー自身も気づいていない不便や要望を見つけ、安全性と機能性を守りながら形にする。 食品ユニフォームは本当に白でなければならないのか。
その問いに一つの答えを押し付けるのではなく、現場が自分たちで考えられる選択肢をつくること。 サーヴォの取り組みは、固定概念を問い直し、働く人に寄り添うものづくりの姿勢を伝えています。
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編集者:ユニフォームレンタル事業部
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