食品工場の暑さ対策とは?|衛生と安全を両立する設備と熱中症対策をご紹介!
食品工場は、夏や夏場になると、熱気や湿気によって特に暑い職場環境になりがちです。 従業員の健康を守り、安全に作業してもらうためには、適切な暑さ対策が欠かせません。
この記事では、食品工場特有の衛生面や品質管理の課題をクリアしながら、快適な作業環境を実現するための具体的な設備対策や熱中症予防策について、分かりやすくご紹介します。


なぜ食品工場の暑さ対策は難しい?特有の3つの原因
食品工場の暑さ対策が他の工場と比べて難しいのには、特有の理由があります。
ここでは、その主な3つの原因について見ていきましょう。 これらの原因を理解することが、効果的な対策を立てる第一歩となります。
加熱調理工程による熱気の発生
食品工場では、煮る、焼く、揚げる、蒸すといった加熱調理工程が数多くあります。
大型の釜やオーブン、フライヤーなどは常に高温を保っており、そのもの自体が大きな熱源です。
これらの機器から発生する熱と蒸気が工場内に充満することで、室温だけでなく湿度も上昇し、体感温度が著しく高くなってしまいます。
全身を覆う衛生服の着用による熱のこもり
食品の安全を守るため、従業員は帽子、マスク、長袖・長ズボンの衛生服を着用し、肌の露出を最小限に抑えています。
異物混入を防ぐための重要なルールですが、この服装は通気性が悪く、体から発生した熱が衣服の内部にこもりやすくなります。
汗をかいても蒸発しにくいため、体温調節がうまくできず、熱中症のリスクが高まります。
熱や蒸気が排出されにくい工場構造
衛生管理を徹底するため、多くの食品工場は窓が少なかったり、窓を開けての換気が制限されたりしています。
これは、虫やホコリといった外部からの汚染を防ぐためです。
しかし、このような密閉性の高い構造は、加熱工程で発生した熱や蒸気が屋外に排出されにくく、工場内部にこもってしまう原因にもなっています。
【個人・運用編】従業員を守るための熱中症予防策
設備の導入と合わせて、従業員一人ひとりができる個人での対策や、会社としての運用ルールを整えることも、熱中症対策には不可欠です。
ここでは、すぐに取り組める効果的な予防策をご紹介します。
衛生服の下に着用できる冷却ベストやインナーを活用する
ファン付き作業着が使えない食品工場では、衛生服の下に着用できる冷却グッズが重宝します。
水を含ませて気化熱で体を冷やすタイプや、凍らせた保冷剤をポケットに入れて使うタイプの冷却ベストなどがよいでしょう。
例えば冷却ウェアを展開しているメーカーの気化熱冷却機能を備えた冷却インナーは、ベストを水で濡らすことで長時間にわたり冷感を持続させる設計となっています。 防水性・通気性を兼ね備えており、表面の水分は通さず、内部の蒸れを防止してくれます。また、高い熱伝導率と伸縮性で身体にぴったりフィットし、冷感を効率的に内部に伝えてくれます。
こちらの製品をこのまま着用するだけでも効果的ですが、アイスベストと重ねて着用することでより冷感がアップし効果的です。
このようなアイテムは、ファンや外部デバイスを使用しない構造のため、異物混入リスクが低く、衛生管理と作業環境改善を両立できる実効性の高い対策です。
ユニフォームの見直しをする
従業員が着用するユニフォームそのものを見直すことも、暑さ対策において非常に有効なアプローチとなります。近年は吸汗速乾性や放熱性に優れた高機能素材の衛生服が増えています。
特に速乾素材は、汗をすばやく乾燥させてドライな状態を保ちつつ、蒸発時の気化熱で体温上昇を抑制します。さらに、肌との接触を低減することでベタつきを軽減し、快適性を維持します。
異物混入防止などの衛生基準を維持しつつ、涼しさと快適性を両立できるユニフォームの選定は、現場の負担軽減に直結します。作業環境や工程に応じた最適な製品選びについては、ぜひ白洋舍にご相談ください。専門的な視点から、皆さまの工場に最適な運用設計をご提案いたします。

WBGT値(暑さ指数)を計測し作業強度を調整する
WBGT(湿球黒球温度)は、気温だけでなく湿度や日射、輻射熱などを考慮した、熱中症リスクを評価するための指標です。
2025年6月1日から施行された改正労働安全衛生規則では、WBGT値28℃以上または気温31℃以上となる環境下で一定時間以上作業を行う場合、熱中症の早期発見と重篤化防止のための体制や手順を整備し、周知することが事業者に義務付けられました。
その判断基準として、WBGT値を計測し、暑さの程度に応じて作業の中断や休憩時間の確保、作業内容・作業強度を調整することが実務上求められています。
感覚に頼らず客観的な指標を用いることで、作業者の負担を適切に把握し、無理のない安全な作業環境づくりにつなげることができます。
定期的な休憩と水分・塩分補給のルールを徹底する
熱中症予防の基本は、こまめな休憩と水分・塩分補給です。 作業スケジュールの中に定期的な休憩時間を明確に組み込み、「のどが渇いた」と感じる前に水分を摂るよう指導を徹底しましょう。
休憩室には、スポーツドリンクや経口補水液、塩飴などを常備し、誰でも自由に補給できる環境を整えることが大切です。
従業員への熱中症予防に関する安全衛生教育を実施する
従業員自身が熱中症の危険性を正しく理解し、自分の体調変化に気づけるように、定期的な安全衛生教育を行うことが重要です。
熱中症の初期症状や応急処置の方法、日々の体調管理のポイントなどを伝えましょう。
また、体調がすぐれないときには、我慢せずにすぐに上司や管理者に報告できるような、風通しの良い職場環境づくりも重要です。
暑さで体調不良者がでた場合の万が一に備え体温を迅速に下げる冷却用資材(冷却シートや冷却ベルト等)をあらかじめ常備し、その保管場所や使用ルールを従業員へ周知することも効果的でしょう。
【設備編】衛生面をクリアする食品工場の暑さ対策4選
ここでは、衛生面での厳しい基準を満たしながら、効果的に作業環境を改善できる設備についてご紹介します。 自社の工場に合った設備を見つけることで、従業員の負担を大きく軽減できるでしょう。
熱源を囲い込む排熱フードで局所的な熱を排出する
釜やオーブンといった特に高温になる調理機器の上に、局所排気装置である排熱フードを設置する方法です。
熱や蒸気が工場全体に広がる前に、発生源で直接捉えてダクトを通じて屋外へ排出します。
これにより、周辺エリアの温度上昇を効果的に抑えることができ、作業者の負担を軽減できます。
外気からの熱を遮断する遮熱シートを屋根や壁に施工する
夏場は、屋根や壁が太陽の強い日差しを受けて高温になり、その熱が「輻射熱」として工場内部に伝わってきます。
遮熱シートや遮熱塗料を屋根や外壁に施工することで、太陽光を反射し、建物内部への熱の侵入を大幅にカットできます。
空調の効きが良くなるという副次的な効果も期待できるでしょう。
作業エリアを限定的に冷やすスポットクーラーを導入する
工場全体を冷やすのが難しい場合でも、作業者が長時間とどまる特定の場所だけを冷やすスポットクーラーは有効な手段です。
ただし、食品工場では、強い気流による粉じんや微粒子の拡散、ドレン水の衛生管理といったリスクに配慮が必要です。そのため、開放食品を扱うエリアでの使用は避け、倉庫や出荷エリアなど、食品への直接影響が少ない場所での運用が望まれます。
移動式タイプを選定することで、作業状況に応じた柔軟な配置にも対応できます。
空調効率を上げるビニールカーテンでエリアを区切る
工場内の空間をビニールカーテンやシートシャッターで仕切ることで、空調の効率を高めることができます。
例えば、熱を多く発生させる加熱調理エリアと、それ以外のエリアを区切るだけでも、冷気が外に逃げにくくなり、限られた範囲を効率よく冷やすことが可能です。
人やフォークリフトの通行を妨げないよう、設置場所を工夫するとよいでしょう。

食品工場の暑さ対策に関するよくある質問
ここでは、よくある質問とその回答をまとめました。 補助金の活用や品質管理との両立など、気になる点を解消していきましょう。
暑さ対策に使える補助金や助成金はありますか?
はい、活用できる可能性があります。
例えば、職場環境改善を目的とした補助金や、省エネルギー設備の導入を支援する補助金など、様々な種類の補助金が存在します。
制度は年度によって内容が変わるため、最新の情報を厚生労働省や経済産業省のウェブサイトで確認し、自社に合った補助金の活用を検討するとよいでしょう。
製品の品質を落とさずに作業環境を涼しくする方法は?
製品の品質を維持しながら作業環境を涼しくするには、製品に直接影響を与えない「間接的な温熱対策」が有効です。
建物の屋根や壁に遮熱シートを施工して外部からの熱侵入を防いだり、熱源に排熱フードを設置して熱気を直接排出したりする方法は、製品の温度に影響を与えにくいでしょう。
また、冷却ベストなどの個人装着型の対策を併用することで、製品環境に影響を与えずに、作業者の体感温度を効果的に下げることが可能です。
衛生管理の観点から、工場内での使用に注意が必要な暑さ対策グッズがありますか?
例えば、ファン付き作業着(空調服)は外気を取り込む構造上、粉じんや微粒子を拡散させる可能性があるため、食品を扱うエリアでは使用が制限されるケースが一般的です。
また、ミストファンは水分の飛散により周辺環境へ影響を及ぼす可能性があるため、使用場所や運用には注意が必要です。 異物混入リスクを防ぐためには、設備の特性に応じた適切な使い分けが重要です。
まとめ
食品工場の暑さ対策は、衛生管理という特有の制約の中で、従業員の安全と健康を守るために非常に重要です。
この記事でご紹介したように、排熱フードや遮熱シートなどの「設備対策」と、冷却ベストの活用やWBGT値の管理といった「個人・運用対策」をバランス良く組み合わせることが、効果的な解決策となります。
夏の暑さ対策はもちろん、冬の寒さ対策と同様に、年間を通じた職場環境改善の一環として、自社に最適な方法を見つけて取り組んでみてください。

協力:アイトス株式会社
アイトス株式会社は、大正6年創業のワーキングウエア、サービスウエア、オフィスウエア、クリーンルームウエアなどを企画・製造・販売するメーカーです。働く人々のユニフォームづくりを通して、高性能・安心・安全な商品提供に取り組んでいます。
編集者:ユニフォームレンタル事業部
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