異物混入を防ぐ対策の方法や重要性について解説(食品工場編)

異物混入を防ぐ対策方法には、主に次のようなものがあります。
- 従業員による異物混入への対策
- 徹底した衛生管理
- 害虫や害獣による異物混入への対策
- 施設や設備による異物混入の対策
食品業界において、異物混入は企業の信頼を揺るがしかねない深刻な問題です。
特に、食品工場では微細な異物が製造ラインに入り込むリスクが高く、安全管理が強く求められています。
本記事では、異物混入の原因やリスク、効果的な対策について詳しく解説します。
異物混入とは
食品工場における異物混入とは、食品の製造過程や保管、流通の段階で食品に本来含まれるべきでない異物が混入することを指します。
異物混入が起きると、食品の品質や安全性を損なうだけでなく、消費者の健康被害につながる恐れがあるため、食品業界において最も重要なリスク管理の一つとされています。
異物混入には、以下のような種類があります。
- 人体由来の異物:毛髪、皮膚片、爪、汗など
- 環境由来の異物:埃、昆虫、小動物、微生物など
- 機械・設備由来の異物:金属片、プラスチック片、ゴム、ガラスなど
- 包装材由来の異物:ビニール片、紙片、糊、インクなど
- 異種食品由来の異物:別の製品の原材料が誤って混入するケース
異物混入は、消費者クレームの原因となるだけでなく、企業のブランド価値や信用の失墜、場合によっては行政処分や法的措置に発展する可能性があります。
そのため、食品工場においては適切な管理体制を整え、リスクを最小限に抑えるための対策を講じることが不可欠です。
異物混入が発生する原因
異物混入が発生する原因は、主に次の4点です。
従業員による不注意・教育不足
食品工場では、人為的なミスによる異物混入が多く報告されています。
特に、新入社員や臨時スタッフなどの経験が浅い従業員は、異物混入リスクを十分に認識していないことが多く、適切な作業手順が守られない場合があり、教育が重要になってきます。
従業員による不注意・教育不足による異物混入の原因
- 作業時にアクセサリーや時計を外さなかった
- 手洗いや消毒の不徹底
- 毛髪の落下や爪の破片の混入
- 作業エリアへの私物の持ち込み
- ばんそうこうの使用
衛生管理が不十分
食品工場では、工場全体の衛生環境が整備されていない場合、異物混入のリスクが高まります。
特に、清掃が不十分な環境では、埃や汚れが蓄積し、それが食品に混入することがあります。
衛生管理が不十分なことによる異物混入の原因
- 清掃が適切に行われていない作業エリアがある
- クリーニングが不十分な作業器具やコンベア
- 汚れたユニフォームや手袋の使用
- 作業場内の換気が不十分で、埃や異物が滞留している
害虫や害獣の侵入・発生
食品工場では、害虫や害獣が異物として混入するリスクもあります。
特に、開放的な環境では、ゴキブリ、ネズミ、ハエ、アリなどが侵入し、食品への混入や汚染を引き起こします。
害虫や害獣の侵入・発生による異物混入の具体的な原因
- 食品の残渣が適切に処理されていないため、害虫や害獣を呼び寄せてしまう
- 工場の出入口や換気口の隙間が未対策
- 害虫・害獣対策が十分に行われていない
- 工場内に湿気や水たまりが多く、害虫が発生しやすい環境になっている
設備や機械などの不具合
食品製造ラインでは、機械や設備の老朽化による異物混入のリスクもあります。
特に、金属片やプラスチック片が機械の摩耗によって食品に混入することがあり、定期的な点検とメンテナンスが不可欠です。
設備や機械などの不具合による異物混入の原因
- 機械の劣化による部品の剥がれや摩耗
- 製造ラインの振動により、ねじや部品が脱落する
- ベルトコンベアのゴム片が削れ、食品に混入
- 設備のメンテナンスが不十分で、異物検知装置の精度が低下している
異物混入が発生しやすい食品製造現場を食品衛生7Sの視点からチェック
「食品衛生7S」とは、「整理」「整頓」「清掃」「洗浄」「殺菌」「躾」「清潔」の7つの要素を指し、安全で衛生的な作業環境を維持するフレームワークです。
異物混入や衛生リスクを最小限に抑えるための具体的な手法と習慣を確立します。
この視点から、異物混入が発生しやすい食品製造現場の具体例を見直してみましょう。
1.整理(Seiri)
必要なものと不要なものを判別し、必要なものだけ残した状態です。
- なくなっても気づきにくいモノの放置(輪ゴム、クリップ、筆記用具、機械部品、小道具など)
- 梱包材料などのプラスチック片、紙片、金属片などが設備周辺や作業台に残ったままの状態
2.整頓(Seiton)
必要な時にすぐ取り出せるように決められた定位置に保管いたします。
- モノの置き場所や置き方が決まっていない(直置きの禁止、施錠ルール)
- やりっぱなしの状態で業務から離れる
- 持ち込み、持ち出しルールで何が禁止なのかや禁止場所が周知されていない
- 使用後のユニフォームや道具が適切に収納されていない
3.清掃(Seiso)
汚れやゴミ、異物をなくすことをいいます。
- メンテナンスや清掃の対象、頻度、内容、担当が決まっていない
- 使用後の道具や機械の清掃がされていない
4.洗浄(Senjō)
水・湯・洗剤などを用いて、湿潤状態で施設や設備・作業環境の微生物を除去することです。
- 汚れが蓄積しやすい箇所を見逃している
- 機械や道具の洗浄が不十分
- 高圧洗浄や洗剤を用いた徹底的な洗浄ができていない
- 洗浄後の水分残りを防ぐ適切な乾燥が十分ではない
5.殺菌(Sakkin)
微生物を死滅・減少・除去させたり、増殖させないようにすることです。
- 殺菌作業の基準や手順が明確にされていない
- 殺菌用具や薬剤の使用期限や保管方法が適切に守られていない
6.躾(Shitsuke)
整理、整頓、清掃を職場ルールに従って実行し、全従業員に周知・徹底することをいいます。
- 作業中のユニフォームや帽子、手袋の着用ルールが徹底されていない
- なくなったモノを探すことや報告の義務が曖昧
- 従業員が注意喚起の指標やルールを知らない、もしくは実行していない
7.清潔(Seiketsu)
整理・整頓・清掃・洗浄・殺菌が躾によって、管理できている状態を「清潔」といえます。
- 清潔エリアと汚染エリアの区分が曖昧で、無意識に汚染物を持ち込むリスクがある
- 出入口をしっかり締めていないことで、さまざまな対策の効果が薄れる
- 清潔エリアに適したユニフォーム(防護服、ヘアキャップ、マスクなど)が適切に着用されていない
ぜひ食品衛生7Sの視点から職場の状況をチェックしてみてはいかがでしょうか。
異物混入を防ぐ対策方法
では、異物混入を防ぐためには、どのような対策を行えば良いのでしょうか?
本章では、効果的な異物混入対策の方法について解説します。
従業員による異物混入への対策
食品工場における異物混入の大きな要因の一つは、従業員の行動や身だしなみです。
作業員が適切な衛生管理を行い、異物混入リスクを理解して行動することが求められます。
具体的な対策
作業時の服装ルールを厳格化
- 異物が付着しにくいユニフォームの着用(静電気防止・防塵機能付きなど)
- 清潔な作業着を適切に着用する
- 作業前に異物が付着していないか等ユニフォームのチェックの徹底
- 使い捨て手袋、帽子、マスクの着用の徹底
身だしなみの管理
- 髪の毛、爪の長さを定期的にチェックする
- 作業場でのアクセサリー、私物の持ち込みを禁止する
- 定期的な健康診断の実施(皮膚疾患・アレルギー対策)
従業員教育の徹底
- 異物混入リスクを学ぶ定期的な研修の実施
- 異物混入防止のためのチェックリスト導入
- 衛生管理に関するポスターや掲示物の設置
- 苦情内容事例や社内情報を共有する
徹底した衛生管理
衛生管理の不備は、異物混入を引き起こす主要な原因の一つです。
工場全体の衛生管理を徹底することで、異物混入リスクを大幅に削減できます。
具体的な対策
作業エリアの清掃・消毒の徹底
- 作業開始前後の機械・作業台の清掃
- 食品残渣や埃が蓄積しないよう、日次・週次の清掃スケジュールの策定
- アルコール消毒や殺菌処理の徹底
衛生管理エリアの区分け
- 「清潔区域」「準清潔区域」「汚染区域」のエリア分け
- 作業ごとのユニフォームの変更
- 衛生管理が必要なエリアへの入場前にエアシャワーを設置
異物検知装置の活用
- 金属探知機・X線検査機の導入
- 色彩選別機・光学センサーを活用した異物検知
- 定期的な異物検知装置の点検・校正
食品の安全を守るためには、異物混入リスクを未然に防ぐ環境づくりが不可欠です。
清掃・消毒の徹底に加え、最新の検査装置を活用することで、安全性をより高めることができます。
害虫や害獣による異物混入への対策
食品工場では、害虫(ハエ、ゴキブリ、蚊、ダニ)や害獣(ネズミ、小動物)の侵入も大きな異物混入リスクになります。
これらを徹底的に防ぐ対策を講じることが重要です。
具体的な対策
出入口の管理
- ドア・窓に防虫ネットを設置し、害虫の侵入を防ぐ
- 害虫が入り込まないよう、エアカーテンを設置する
- 資材搬入時の扉の開閉を素早く行い、開放時間の短縮をする
- 工場内の通気口や排水溝を適切に管理し、害虫の発生を防ぐ
害虫駆除の実施
- 害虫駆除専門業者による定期点検・駆除
- 工場内外に害虫トラップ・粘着シートを設置
- 害虫の発生リスクが高い食品残渣の適切な管理(密閉容器の使用など)
害獣対策
- 食品の保管エリアに害獣が入り込まないよう、シャッターを密閉する
- 天井裏や倉庫の点検を定期的に行い、ネズミの巣を除去する
- 電気式害獣駆除装置を導入する
害虫や害獣の侵入は、衛生管理が不十分な環境で発生しやすくなります。
定期的な清掃・防虫対策を行うことで、異物混入リスクを大幅に低減できます。
施設や設備による異物混入の対策
工場の施設や製造設備の老朽化、適切な管理が行われていない場合、金属片やプラスチック片などの異物混入が発生する恐れがあります。
具体的な対策
設備の定期点検とメンテナンス
- 製造ラインの摩耗部品(ベルトコンベア、撹拌機など)を交換する
- 金属製の機械部品が摩耗していないか、X線検査を定期的に実施する
- 設備に異常がないか、始業、終業時作業開始前にチェックリストを用いて確認する
異物検知装置の設置
- 金属探知機・X線検査機を導入し、金属片やプラスチック片の混入を防止する
- マグネットバーを活用する(ステンレスなどの金属片を取り除く)
施設の衛生管理
- 空調・換気設備を適切に管理し、埃の蓄積を防ぐ
- 食品製造エリアの壁や床のひび割れ、穴、塗装剥がれなどを修復し
、異物混入を防ぐ - 配管やダクトの掃除を定期的に行い、異物の蓄積を防止する
- 敷地内排水溝の位置を適切に配置し、加工所内へ流入しない構造にする
食品工場では、設備や施設の管理が不十分な場合、異物混入リスクが高まります。
定期的な点検とメンテナンスを実施し、異物混入を未然に防ぐ対策を行いましょう。
まとめ
食品工場における異物混入は企業の信用を揺るがし、ブランド価値を損なう重大な問題です。
消費者の健康被害やクレーム、さらには行政処分のリスクを避けるためにも、徹底した異物混入対策が不可欠です。
食品業界における品質管理の基準は年々厳しくなっており、適切な異物混入対策を講じることは、企業の存続にも関わる重要な課題です。
今一度、自社の異物混入対策を見直し、安全で高品質な食品の提供を目指しましょう。
ユニフォームの適切な管理も重要
食品工場では、作業時に着用するユニフォームの清潔さが異物混入防止のカギとなります。
適切なユニフォームを着用し、定期的なクリーニングを行うことで、毛髪や繊維の落下を防ぐことができます。
ユニフォームを適切に管理するために、ユニフォームレンタルサービスを利用するのも効果的な手段です。
ユニフォームレンタルには、クリーニングやメンテナンスなどが含まれているため、衛生的な作業環境を維持することが可能です。
なお、白洋舍では、貴社が抱えるユニフォーム管理の課題を解決するために、工場ごとの規模や作業内容、従業員数などを綿密にヒアリングし、最適なプランをご提案いたします。
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